「’s」・「of」って「~の」って訳せば良いと思ってない?
では、早速。次の2つの英文の違いは何でしょうか?
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a book of Haruki Murakami.
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a book of Haruki Murakami’s.
この違いが瞬時にわかるようでしたら、あなたはかなり英語通ですね。
どちらも「村上春樹の本」じゃないの?
簡単に和訳をすれば、それでも正解かもしれません。
ですが。
このブログを読んでいる方であれば、もう少し突っ込んだ和訳を求めているはずです。
では、2つの文章の和訳を載せますので、それぞれの和訳がどの英文に対応しているのか当ててみてください。
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村上春樹が書いた本
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村上春樹について書かれた本
意外と分からなくないですか?
今回は、この所有格に関する微妙な解釈の違いについて注目していきましょう。
目次
そもそも所有格とは?
定義についてごちゃごちゃ覚える必要は全くありません。
「my, his, her, their」とか「of」を使う表現だよね。
という認識で今のところは構いません。
「句のあいまい性」について
所有格の表現には、複数の解釈が可能なものがあります。
複数の解釈が可能というのがかなり厄介なもので、これを【曖昧(あいまい)性】と言います。
具体的にどんなものなのかご紹介しましょう。
いつも通り、「クレヨンしんちゃん」のキャラクターから「しんちゃん」を使った英文です。
Shin-chan’s picture.
さて、この英文には以下の3通りの解釈ができます。
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しんちゃんが描いた絵。
Shin-chanを主語、pictureを目的語と捉えた時、「the picture which Shin-chan painted.」となります。
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しんちゃんが持っている絵。
英文の捉え方に関しては、1つ目の和訳とほぼ同じですが、「絵を描いたこと」ではなくあくまで「所有していること」に注目します。
ですので、英文の解釈として「the picture which Shin-chan has.」となります。
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しんちゃんを描いた絵。
今度は、Shin-chanをpictureにとっての目的語として捉えます。
英文の解釈としては「the picture which painted Shin-chan」となります。
以上が所有格の表現に関わる【曖昧(あいまい)性】です。
この【曖昧(あいまい)性】のせいで、お互いのコミュニケーションに食い違いが起こることが多いので、注意が必要です。
特に、ビジネスや外交の現場ではこういった食い違いが大きなミスにつながりかねないので、気を付けなければなりません。
所有格って「~の」だけじゃない。
さて、ここまで読んだ方はもうわかっているとは思いますが、所有格って「~の」だけではないんです。
「A’s B」を「AのB」と機械的に訳すようになってしまうと、解釈が一辺倒になりそれ以上の理解に及ばなくなってしまいます。
ですので、
所有格は「~の」って覚えましょう!!
という昔の先生の教えはこの際きれいさっぱり忘れましょう。
むしろ、所有格というのは主語と目的語の関係について触れた表現と理解をするべきです。
では、整理します。
【「A’s B」の捉え方】
(1)Aの~したB / Aの持っているB ←(Aが主語、Bが目的語)
(2)Bを~したA ←(Aが目的語、Bが主語)
しかし、そもそも論を言ってしまいましょう。
英文の表現の形が「A’s B」って、やっぱり分かりにくくないですか?
今回はどっちの英文の捉え方で進めればいいんだよ?
ということになりかねません。
そこで、この【曖昧(あいまい)性】を排除した英文の形が、冒頭で触れた表現になるんです。
【曖昧(あいまい)性】を排除するための表現
冒頭の文章をもう一度見てみましょう。
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a book of Haruki Murakami.
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a book of Haruki Murakami’s.
ここで「of」と「’s」に関するルールをご説明します。
【「A’s B」の捉え方】
A of B → A=主語、B=目的語
A of B’s → A=目的語、B=主語
このルールにのっとれば、和訳もどのようにすればいいのか分かるのではないでしょうか。
和訳については、前者が「村上春樹について書かれた書籍」、後者が「村上春樹が描いた書籍/持っている書籍」となりますよね。
どちらの英語表現も
Haruki Murakami’s book
と表現することも可能ではありますが、そのままでは【曖昧(あいまい)性】が目立つので、それを排除するために上記のような英語表現があるのです。
まとめ
本日の記事のまとめに入りましょう。
【「所有格」の捉え方】
・所有格とは「~の」じゃない
・所有格とは主語と目的語の関係性にちょっと触れている表現に過ぎない
【「A’s B」の捉え方】
(1)Aの~したB / Aの持っているB ←(Aが主語、Bが目的語)
(2)Bを~したA ←(Aが目的語、Bが主語)
【「of」と「’s」の捉え方】
A of B → A=主語、B=目的語
A of B’s → A=目的語、B=主語
今回は少し難しかったかもしれません。
しかし、例えば英語で論文やレポートを書かなければならない時やビジネスで書類を作成する必要があるとき、【曖昧(あいまい)性】というのは非常に厄介なものです。
この機会にできる限り英語を使う現場で【曖昧(あいまい)性】を排除できるように、身につけてください。
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